無垢板と突板(つき板)の違いは?
お客様からお問い合わせの多い無垢板と突き板を使った家具の違いについて説明します。
最初にお伝えしたいのはどちらも同じものは二つとない本物の天然木だということです。
無垢材
まず無垢板は英語ではSolid wood(ソリッドウッド)と言われるように大きな木の塊とお考えください。
丸太を適度な厚みにスライスして板に加工した材料です。
当店でも常に乾燥した材料を確保しており、写真の材料は山桜。
必要に応じて適度な厚みや長さに加工します。
無垢材で大きな天板を作るときには剥ぎという工程で板同士をつなぎ合わせます。
写真は山桜の丸いテーブルを作っているところで無垢の木を木目を見ながら並べていきます。そして、この後接着しさらに丸形に加工していきます。
ここで完成品を想像しながら自然な雰囲気になるように並べるのが家具屋の腕の見せ所だったりします。量産品の家具は結構ランダムに並んでいたりするものです。
また、無垢材の天板の場合は反り止めが必要になります。鍋の蓋のような反り止めは吸い付き桟と呼ばれ手間はかかりますが一番効果的な反り止めだと思っています。
突板
突き板は0.3~0.5ミリ程度に薄く無垢板をスライスした材料です。
私は突き板工場で2.5ミリほどの薄い合板に貼った材料を使うことが多いです。
一度突き板工場を見学させて頂いたことがあるのですがとてつもなく大きなカンナが動いて丸太状の無垢材をコピー紙ほどの厚みにスライスいく様子は圧巻の光景でした。スライスした材料を横に並べて貼っていくことでサブロク(900×1800)ほどの大きな面積材料が確保できる点、芯材を中空にするフラッシュ構造でつくることができ、重量を抑えられる点も魅力です。
突き板の場合は薄くスライスした材料を同じ幅で貼っていくため同じパターン連続してしまい不自然に見えたりします。そこで当店では突き板屋さんにわざと少しずらして貼ってもらったり手間のかかるオーダーをしています(笑)
突き板家具と無垢の家具の見分け方は表面だけではなかなか判断しづらいと思います。家具の角(木口、木端)を比べてみてください。
下の写真は無垢の家具です。木口の方向に年輪が見えます。木目も表面とつながっています。
突き板の家具の写真です。木目は表面と同じ木目になっており年輪は見えません。突き板は中身と表面の材質が異なるため縁にも表面と同じ材料を貼る必要があるのです。
下の写真の木口には額縁のように無垢板のエッジ材を貼ってあります。
また、無垢の家具は削っても中身が同じなので木口を丸くしたり自在に加工することができます。
突き板を使った家具の場合は角が尖った感じのものが多く、質が悪いものはエッジ材が剥がれてくることもあります。
当店では無垢の家具と突き板の家具、適材適所で使い分けています。
例えばこの食器棚の場合、、、
なるべく軽量に抑えて作りたいので
キャビネット内部、側板などは突き板。
重厚な質感を出し、傷に強くするため、天板、扉などは無垢材を使用しています。
まとめ
□無垢板
本物志向で長く使いたいものに向いています。テーブルなどしっかり作れば100年以上耐久性があるものができます。また、小さなお子さんがいるご家庭では角を丸くとったりすることもできるので安全で汚れなども気にせずに使えます。
[メリット]
・質感がよく形状も自在につくることができる。
・傷や汚れがついてもカンナなどで削りなおしたり補修することが容易である。
・経年変化が美しく、傷なども中身まで同じ色なので味わいになる。
・重厚で質感もよい。
[デメリット]
・重量がある。
・価格が高めになる。
・環境により反りが生じることがある。
□突き板
[メリット]
・軽量に仕上げることができる。
・形状が安定しているため、キャビネットなどに向いている。
・価格は無垢材より安価に仕上がる。
[デメリット]
・深い傷がついたときに下地材が見えてきれいではない。
・縁貼りしたエッジ材が剥離する恐れがある。