収納の奥行きで使い勝手が変わる?

収納にとって奥行きは悩ましい要素の一つです。お客様でも間口(横幅)は決まっているけど奥行きをどうされるか決めかねているという方が多いです。中に仕舞いたいものもバラバラだったりすると余計に難しくなります。奥行きを確保すると収納力はアップしますが、部屋に圧迫感が出てしまったり、通路が狭くなったりします。昔に比べて電化製品の薄型化やスライドレールなどの金物の性能向上などにより、奥行き使い方、収納の考え方も変わってきています。

●実例1、サイドボードの場合。

上にテレビを置いて、下に書類やメディアを整理したい。このような場合は奥行きは実は350ミリほどあれば十分かと思います。テレビも薄型になって場所をとらなくなっていますし、書類もA4サイズが中心であれば350ミリあれば引き出しにも十分収まるでしょう。DVDのデッキなどもかなり奥行きは小さくなっています。また、お皿などディスプレイを兼ねてをする場合も奥行きは狭めの方が奥のスペースに無駄がなくお勧めです。

実例2、キッチンに作業用のカウンター兼収納を設置する場合

天板は作業スペースとして、カウンター下を収納にしてお皿や食品をいれたい場合、通路幅が確保できるのであれば奥行きは広く確保した方が収納力アップします。昔はカウンター下には開き戸が主流でした。開き戸の場合は奥のスペースは手が届かなかったり、上部にスペースが余り、有効利用できませんでした。今はフルスライドのレールの引き出しが主流になってきています。この部分にお皿や食品などのストックを入れるとフルスライドレールの場合は奥まで全て見渡すことができ使い勝手のよい収納となります。腰を屈めなくてもいいので楽に取り出すことができる点も魅力です。このようにカウンターに引き出しを作る場合は奥まで全て使えるため、奥行き広めで収納力がかなりUPします。

具体的には奥行き狭めで450ミリ~広めで~650ミリ程度がお勧めです。

オイル塗装Q&A

Q.オイル塗装をお勧めする訳は?

A.オイル塗装の場合、ウレタン塗装に比べ、定期的にメンテナンスが必要で手間がかかります。しかし、その煩わしさを超える魅力があるからオススメできるのです。

例えが適切かわかりませんが合皮と本革の違いに似ているかもしれません。

合皮の方が手入れの必要なく扱いやすいですが、本革が好きな方が多くいらっしゃると思います。革靴やカバンなどオイルやワックスで手入れをするとしっとりして光沢が出て、とてもいい風合いになります。自然についてしまう傷のひとつひとつもオンリーワンの個性のように感じられ、愛着が増していくのではないでしょうか。

オイル塗装の家具も本革と同じように光沢を増して、深い色へと変化していきます。納品した時点ではまだ完成ではなく定期的にお手入れをして自分色の愛着を持ってる家具に変わっていきます。

Q. 普段のお手入れはどのようにするのですか?

A.油分が取れづらい乾拭きが好ましいです。テーブルなど普段から汚れが気になる箇所は硬く絞ったフキンなどで拭き取って下さい。頻繁に水拭きをすると表面のオイルが取れて乾いた感じになります。

しかしながら手入れに対して神経質になる必要はないと思います。うちでは毎日3回は水拭きしていますが定期的にお手入れをすれば問題ありません。

Q.オイルを塗り直すタイミングは?

A.表面がパサついてきたなと感じた時がメンテナンスのタイミングです。目安としてはテーブルなど毎日水拭きする箇所は3ヶ月~半年に一度程度、それほど水拭きをしない箇所では1年程が目安となります。

Q.オイルの塗り方のコツを教えてください。

1 オイルを綿等のウェスに取り、全体にむらなく擦り込むように塗布します。

2 塗布後乾いた布でしっかり拭き取って下さい。拭き取りは木目に沿って布を交

換しながら拭き取るのがコツです。

また、材料によっては木目に入った塗料が後から吹き出てくることがありますので、

少し置いてからもう一度拭き取ります。

3 その後、一日乾かせて完了です。

Q.オイルを一度塗ったらどれくらいで乾きますか??

A.実はオイル塗装の完全に乾燥するまでには1ヶ月程度かかります。しかし、1日経てばおおよそ触っても問題ない程度に乾燥しますので使って頂くことはできます。1ヶ月経つまでは熱い湯呑みなどはコースターを使うなど直接置かないようにしてください。

 

無垢のテーブル×オイル塗装のススメ

無垢のテーブルは高級で重くて、取り扱いがめんどくさそうというイメージをお持ちの方もいるかもしれません。しかし、長い目でみればこれほどテーブルに向いている材料はないと私は思っています。そこで突き板やメラミンで作ったテーブルと無垢板で作ったテーブルの違いを説明していきます。

 

無垢板は削れば新品同様

ダイニングスペースの中心にあるテーブルとは普段から家族が集う場所。

家族で食事をしたり、お子さんが勉強したり、お母さんが家計簿をつけたり、、、

そんなテーブルの天板は1~2年経つとどんなに気をつけていても傷がついてしまうものです。

ペンで引っ掻いてしまったり、鍋を置いて焦がしてしまったり、皿を落としてへこんでしまったり、、、

そんな積み重ねで10年経てばかなり痛んでしまいます。

家具のエッジなどをぶつけて剥がれてきているのを見たことはないでしょうか。

突き板などのテーブル場合は深い傷がついたときに下地材が見えてきてしまいます。

工場の事務所の扉の建具を見たらこんな風に剥がれてきていました。

突き板の場合は薄いシートが貼ってあるため、削ると下地のラワン合板が透けて見えてきてしまいます。

一方、無垢板の場合は中まで全部同じ色なのでこのようなことは起こりません。

もし無垢板のテーブルであればカンナなどで削り直して新品同様に直すことができます。

また細かい傷であればオイル塗装であればご自身で補修ことができます。

無垢は頑丈(ただし作りがしっかりしている場合)

おそらく屋内使用であれば無垢のテーブルは100年以上使えると思います。たとえ痛んでも直すことができるからです。

ただ無垢板だから長く使えるかというとそうとも限りません。

こんなテーブルを見たことはないでしょうか?

東南アジアのアンティーク調のテーブルだと思うのですが定規をあててみたところ大きく隙間ができてしまっています。裏面にはネジどめがされていましたが反り止めのあまり効果がないようでした。

木は常に湿気を吸ったり吐いたりで収縮をくりかえしており、100センチだったテーブルが梅雨の時期には101センチになったりします。特に日本の場合は四季があり湿度の変化が大きく、木にとっては過酷な環境なのです。輸入した家具などは特に注意が必要です。

そこでしっかりと反り止めを入れることが重要になってきます。

当店では家具の特徴に合わせて様々な反り止めをいれています。

例えばこんな風に、、、

「吸い付き桟(すいつきざん)」と呼ばれる反り止めで最強の反り止めだと経験上感じております。昔の木の鍋の蓋などにこの反り止めが入っています。木の収縮に合わせて吸い付き桟がレールのようにスライドするので板に無理な力がかかりません。この反り止めが入っていて大きく変形している天板は見たことはありません。ただ加工の際には1/100ミリの精度が必要なので気を使うし手間はかかりますが大きな天板を作る際には効果的な方法です。

当店のエクステンションの丸テーブル場合はたくさん反り止めが入っています。

めちゃくちゃ大変なんですが必要なんです(泣)

その他に天板が小さい幅であったり、ビス留めでも問題ない場合もありますが必ず木が収縮することを考慮にいれて設計する必要があります。鉄の脚に無垢の天板などはネジがスライドできるような隙間を作ったりして反りをうまく逃すようにします。

無垢の家具を選ぶ際には必ず反り止めがどのようになっているか見てみてください。家具屋の心意気を感じ取ることができるでしょう。

 

無垢板のテーブルは角がやさしい。

突き板や化粧板で天板を作る場合は角が立ってしまいます。無垢のテープ状のものを貼って成形しているからです。

テープよりも厚い無垢材を貼って成形することもできます。

例えばこのコタツテーブルの場合は無垢材を貼り付けています。

一方、無垢の場合はこのようなことを全く考えず角を丸く削ったりすることもできるし全体を円形にしたり涙形にしたり形は自由自在に作ることができます。特に角が丸いテーブルなどは小さなお子さんがいる家庭では安心して使える作りです。

もちろん角をぴんと立ててクールな印象に仕上げることもできます。

 

無垢×オイル塗装は安心

当店では食品安全衛生法に合致する自然由来のオイルを使っています。

もし、ペッドが噛んだりしても安心です。シックハウスとも無縁です。

 

無垢材は経年変化が美しい。

右が製造直後の色、左が半年後のものです。木は人間と同じように日焼けをします。時間が経つほどいい色になってきますので経年変化も無垢の家具を使う楽しみの一つといえそうです。

山桜などチェリー系統の木材は経年変化が大きく、育てていく感覚が大きい木材です。

 

いかがでしょうか。

少しでもテーブルをお選びいただく際に参考になれば幸いです。

当店でよく使う樹種

当店でよく使う木の種類をまとめてみました。ここに載っている樹種は一例ですので他の樹種も在庫があったり、取り扱うことができますのでお気軽にお問い合わせ下さい。

山桜(ヤマザクラ)Cherry

バラ科 散孔材 産地:日本 比重:0.68

当店でもっとも多く扱っている樹種です。派手すぎない穏やかな木目でやや赤みを帯びたやさしい色が特徴の国産の木です。時間が経つと淡い赤みを帯びた色が徐々に濃くなり、飴色に変化していきます。磨くことでよく艶が出て長く使うほどに愛着が湧く木です。水にも強く、硬さも十分にあり、木目も緻密です。テーブルや椅子など幅広く使うことができます。昔から家具以外にも水に強い特性を生かして木べらや日常の道具として使われてきました。

加工中にはほんのりと甘い芳香があり気分よく仕事ができます(笑)

また、北米などではブラックチェリーという木材も広く流通しており、似た色を持っています。

楢(ナラ)Oak

ブナ科 環孔材 産地:日本、ロシア、北欧 比重:0.68

木目が美しいことから家具屋が好んで使う樹種です。木目がはっきりしていて部位によっては虎斑といわれる放射状に走る独特の表情があります。どちらかというとワイルドな印象の家具に仕上がります。金属脚との相性もよく、CAFEなどで目にすることが多いのではないでしょうか。硬さも十分にあり、粘りもあるので曲げ木などにも使われます。タンニンを多く含み、時間が経つとやや黒っぽくに変化していき、味わい深い表情となっていきます。

テーブル、椅子など幅広く使うことができます。

テーブルを作る場合は環孔材のナラは表面に毛穴のように小さな穴が無数に空いているおりゴミなど詰まりやすいため、オイル塗装の場合は着色仕上げにするか、ウレタン塗装をして表面をコーティングした方が末長く綺麗に使って頂けます。

栗 (クリ) Chestnut

ブナ科 環孔材 産地:日本、中国 比重:0.59 比重 : 0.55

栗といえば、秋の旬味覚のイメージが強いと思いますが、木目が美しいことから家具屋が好んで使う樹種です。栗材は色は少しくすんだような淡い黄褐色で、木目ははっきりとしており、密度も高く水湿に強く、耐久性があります。使い込めば使い込むほど薄い色合いだったものが濃くなり、木目も浮かび上がり、艶のあるしっかりとした風合いに変化します。テーブル、椅子、フローリングなど幅広く使われています。

ウォールナット walnut

クルミ科 散孔材 産地:北米 比重:0.59

世界の銘木の一つといわれる木で、色は濃い褐色でうっすらと紫がかり、唯一無二の色合いを持つ木材です。明瞭な木目と濃い色が大人の雰囲気を漂わせ、緻密で硬さもあるため、高級家具や工芸品などに利用されます。適度の油分を含んでいるので、ツヤもあり、使い込んでいくことで経年変化を楽しむことができます。価格は他の材料に比べてやや高めになります。

メープル maple

カエデ科 散孔材 産地:北米、ヨーロッパ 比重:0.55

メイプルシロップで有名なメイプルの木です。他の家具材と比べて白っぽく木目もやさしい雰囲気で清潔感のある木で北欧家具などによく用いられています。硬さ、粘りも十分あり木目も均一なのでテーブルや椅子などを作るのに重宝する木です。」

胡桃(クルミ)japanese walnut

クルミ科 散孔材 産地:日本 比重:0.53

ウォールナットよりも少し柔らかく、色合いもやさしく穏やかな木目です。クセのない色なので扱いやすく、加工も柔らかいのでしやすいです。ウォールナットに比べて安価にはなります。テーブルなどには向いていますが粘りがないため華奢なつくりの椅子などには不向きです。

橅(ブナ)beech

ブナ科 散孔材 産地:日本、北米、ヨーロッパ 比重:0.65

加工がしやすく、量産家具でもっともよく利用される木ではないかと思います。独特の斑点のような模様があり、少し赤みを帯びた部分と白っぽい部分があり天板などを作る場合はかなり注意してつくります。木のおもちゃなどはブナが使われていることが多いです。

タモ ash

モクセイ科 環孔材 産地:日本、中国 比重:0.55

家具作りに幅広く利用されている木です。木目は楢に似た木目で硬さも十分あり粘りがあります。家具を作る木の中では比較的安価で手に入り、当店では無垢材よりも集成材を利用することが多いです。

無垢板と突板(つき板)の違いは?

お客様からお問い合わせの多い無垢板と突き板を使った家具の違いについて説明します。

最初にお伝えしたいのはどちらも同じものは二つとない本物の天然木だということです。

 

無垢材

まず無垢板は英語ではSolid wood(ソリッドウッド)と言われるように大きな木の塊とお考えください。

丸太を適度な厚みにスライスして板に加工した材料です。

当店でも常に乾燥した材料を確保しており、写真の材料は山桜。

必要に応じて適度な厚みや長さに加工します。

無垢材で大きな天板を作るときには剥ぎという工程で板同士をつなぎ合わせます。

写真は山桜の丸いテーブルを作っているところで無垢の木を木目を見ながら並べていきます。そして、この後接着しさらに丸形に加工していきます。

ここで完成品を想像しながら自然な雰囲気になるように並べるのが家具屋の腕の見せ所だったりします。量産品の家具は結構ランダムに並んでいたりするものです。

また、無垢材の天板の場合は反り止めが必要になります。鍋の蓋のような反り止めは吸い付き桟と呼ばれ手間はかかりますが一番効果的な反り止めだと思っています。

 

突板

突き板は0.3~0.5ミリ程度に薄く無垢板をスライスした材料です。

私は突き板工場で2.5ミリほどの薄い合板に貼った材料を使うことが多いです。

一度突き板工場を見学させて頂いたことがあるのですがとてつもなく大きなカンナが動いて丸太状の無垢材をコピー紙ほどの厚みにスライスいく様子は圧巻の光景でした。スライスした材料を横に並べて貼っていくことでサブロク(900×1800)ほどの大きな面積材料が確保できる点、芯材を中空にするフラッシュ構造でつくることができ、重量を抑えられる点も魅力です。

突き板の場合は薄くスライスした材料を同じ幅で貼っていくため同じパターン連続してしまい不自然に見えたりします。そこで当店では突き板屋さんにわざと少しずらして貼ってもらったり手間のかかるオーダーをしています(笑)

突き板家具と無垢の家具の見分け方は表面だけではなかなか判断しづらいと思います。家具の角(木口、木端)を比べてみてください。

下の写真は無垢の家具です。木口の方向に年輪が見えます。木目も表面とつながっています。

突き板の家具の写真です。木目は表面と同じ木目になっており年輪は見えません。突き板は中身と表面の材質が異なるため縁にも表面と同じ材料を貼る必要があるのです。

下の写真の木口には額縁のように無垢板のエッジ材を貼ってあります。

また、無垢の家具は削っても中身が同じなので木口を丸くしたり自在に加工することができます。

突き板を使った家具の場合は角が尖った感じのものが多く、質が悪いものはエッジ材が剥がれてくることもあります。

当店では無垢の家具と突き板の家具、適材適所で使い分けています。

例えばこの食器棚の場合、、、

なるべく軽量に抑えて作りたいので

キャビネット内部、側板などは突き板。

重厚な質感を出し、傷に強くするため、天板、扉などは無垢材を使用しています。

まとめ

□無垢板

本物志向で長く使いたいものに向いています。テーブルなどしっかり作れば100年以上耐久性があるものができます。また、小さなお子さんがいるご家庭では角を丸くとったりすることもできるので安全で汚れなども気にせずに使えます。

[メリット]

・質感がよく形状も自在につくることができる。

・傷や汚れがついてもカンナなどで削りなおしたり補修することが容易である。

・経年変化が美しく、傷なども中身まで同じ色なので味わいになる。

・重厚で質感もよい。

[デメリット]

・重量がある。

・価格が高めになる。

・環境により反りが生じることがある。

□突き板

[メリット]

・軽量に仕上げることができる。

・形状が安定しているため、キャビネットなどに向いている。

・価格は無垢材より安価に仕上がる。

[デメリット]

・深い傷がついたときに下地材が見えてきれいではない。

・縁貼りしたエッジ材が剥離する恐れがある。