無垢のテーブルと一口にいっても値段もさまざまで質もマチマチです。
個人的、イチ家具屋の視点から「私ならこういうテーブルを買いたい!」と思う、無垢テーブル選びのポイントを書いてみようと思います。
無垢のテーブルの作り方は大きく集成材、一枚板、剥ぎ板の3つがあります。
こちらは別の記事にまとめていますのでこちらをご覧ください。
一枚板・剥ぎ板・集成材の違いは?
今回は一番よく出回っている剥ぎ板のテーブルに絞ってお話しようと思います。価格の違いには材料や製造のコストが大きく影響します。
まず、材料の価格の違いです。
パインや杉などの針葉樹であれば比較的材料は安価に流通しています。
また、広葉樹の代表的なものはホワイトアッシュ、タモ、ホワイトオーク、ナラ、アルダー、チェリー、ウォールナット、メープルなどが出回っており、ホワイトアッシュ、アルダーなどは比較的安価でウォールナットは比較的高価です。
広葉樹の方が比較的硬く、テーブルの凹みなどが少ないためテーブルに向いている材料といえるのではないでしょうか。写真は磨きやカットする前のウォールナットのテーブルです。
その他に価格に差が出る要因として製造元の違いが大きく影響します。作りや加工精度なども関わってくるため注意して選んで頂きたいポイントです。
①海外メーカーが海外で生産
質もマチマチでいいものと悪いものが混在しているという感じです。海外の量産家具屋はデザインや価格的に魅力的なものも多くありますが、ソリどめが不十分であったり、耐久性は疑問を感じるものもあります。デンマークの有名デザイナーの家具などは作りはしっかりしたものが多いです。テーブルなどは体積が大きいため輸入費用が実際の価格に載っている感じがして少し割高かなと思うこともあります。
②国内メーカーが海外で生産
人件費を節約するため、国内メーカーでも海外で生産しているところもあります。価格はお手頃なものが多いです。個人的な見解ですが横に並べた板の合わせ方がランダムに見えて少し雑かなと感じてしまうことがあります。反りどめはしっかりと入っているもの、入ってないものが混在しています。
③国内メーカーが国内で生産
国内生産の量産メーカーのテーブルであれば作りはしっかりしている印象です。NCなど機械を駆使した複雑な作りのものもあり真似できないなーと感じるものもあります。特別な要望がないのであれば品質も高く信頼できますがデザイン的に野暮ったいものもあるのかなという気がします。
④個人工房で生産
量産メーカーほど設備もないため作れる形も限られます。よいところは細かいオーダーに答えることができ、他にないオリジナリティーを感じるものがあるところでしょうか。価格は少量生産のため、比較的高めです。また、材料の仕入れが少量なため、各工房ごとに得意、不得意な樹種があったり、仕入れルートによっては割高になることもあります。認知度が低く、お店に置いていないことも多いため信頼できる家具屋を見つけるのが大変かもしれません。
※海外生産のテーブルが反りどめが不十分だった為、反ってしまった一例。修理を依頼され、一度天板を切って表面を削りはぎ合わせをやりなおしました。
■まとめ
私がダイニングテーブルを選ぶとすれば、国内メーカーか個人工房で作られたのものを選びます(贔屓目が入っているでしょうか??)。なんといってもテーブルは長く使いたいものなので変形(反り)が一番心配です。低価格の無垢のテーブルは反りどめが不十分であることもあるので購入前に注意が必要です。
また、剥ぎのテーブルの場合は作業者の性格や仕事に対する姿勢が出てくると思います。板に現れる木目は一つ一つ違い、均一なものはありません。板の並び方が意図せずランダムになるとそれぞれの板は魅力的な木目でもテーブル全体を見た時に魅力的に感じないこともあります。せっかく無垢のテーブルを使うのであれば材料選び、しっかりと木目を吟味して作ったテーブルを私は使いたいと感じます。その点、国内メーカーであればマニュアルもしっかりしていますし、品質は信頼できます。個人工房の場合も同様で作った人の個性や性格が見える点がおもしろく、安心なのではないでしょうか。
以上、非常に個人的な見解ですがテーブル選びの参考になれば幸いです。
同じ無垢の天板でも大きく分けて3つの種類にわけることができます。一枚板はその名の通り、一枚の板からできていますが、集成材と剥ぎ板は板を横に並べて繋ぎ合わせています。写真を交えて違いを説明していきます。
①集成材の天板
30-50ミリ幅程度の材料を貼り合わせて作った材料でタモ、杉、パインなどの集成材が出回っています。
大規模な工場で機械的に作られているため、家具屋ではできあがった材料として購入します。価格は比較的やすく、パインの集成材などはホームセンターでも購入できるためDIYなどでもよく使われています。タモの集成材は階段や飲食店のカウンターなどで見かけることが多いです。
木目は途切れ途切れですが柄としてみれば面白い仕上がりで着色してビンテージ風に仕上げにすることもできますし、DIYでは重宝されています。テーブルでパインなどの針葉樹を使う場合は材料がやわらいため、凹みや傷が少し心配です。
タモの集成材
パインの集成材
②一枚板の天板
田舎の豪邸や古民家でよく見かける迫力のある一枚板。最近では海外でも人気が高まっているようで洋風なお宅にもマッチするデザインのものも見かけます。モンキーポット、ウォールナット、チェリー、トチ、ケヤキなどの一枚板が手に入る樹種は限られます。価格は樹種によりピンキリですが1800-850ミリ程度の板でも40万〜くらいででしょうか。価格が高価点、重量があり搬入や設置場所を選ぶところが難点でしょうか。完全な1品もので圧倒的な迫力があり、存在感も抜群です。耳を生かした仕上げも部屋の中にいながら自然を感じるポイントになるのではないでしょうか。
栃(トチ)の一枚板
③剥ぎ板の天板
15〜20センチ幅程度の板を横に並べ貼り合わせて希望のサイズに加工します。無垢のテーブルでは一番よく見かけるのではないでしょうか。ブラックチェリー、ウォールナット、ナラ、メープル、アルダーなど比較的樹種も選べます。一枚板ほどの大胆な木目ではありませんが無垢の木の風合いを生かした家具が作れます。形状も四角、丸、涙型など自由できます。価格は集成材と一枚板の中間程度です。
ナラの剥ぎ板
ウォールナットの剥ぎ板
テーブルを選ぶ上でサイズは重要な要素の一つです。
どれだけ気に入ってもサイズが合わない場合は購入すべきではないと思います。
テーブルのサイズの目安は住宅事情によっても変わりますが大きすぎるテーブルは部屋のスペースを圧迫し、小さすぎるテーブルは窮屈でストレスを感じてしまうでしょう。そのようにならない為に最適なサイズのテーブルの選び方のポイントをご紹介をします。
●椅子に注目
椅子のサイズを測ってみてください。一つの椅子の横幅が小さいものでも450ミリ。人の肘が当たらないサイズを計算すると最低でも一人あたりのスペースは600ミリくらいほしいです。するとおおよその目安が出でくると思います。
最低寸法(目安)
・4人家族であれば800×1400㎜
・6人家族であれば800×1800㎜
●テーブルの高さは
過去にテーブルの高さは700ミリ以下が主流でした。しかし、日本人の体型の変化により、椅子の高さも高くなり、それに伴いテーブルの高さも変わってきています。今主流なのは椅子のシートハイ(座面の高さ寸法)は420ミリ、テーブルの高さは720ミリではないかと思います。また、海外製の椅子の場合はさらにシートハイが高いものもあり、注意が必要です。海外製の椅子や肘掛付きの椅子を検討させている場合は採寸してからテーブルの高さ選ぶことをお勧めします。また、机も天板の下に幕板がついている場合などは肘掛けに干渉することがあるため、注意が必要です。
以下のことに注意して見て下さい。
・椅子の肘掛けは天板にあたらないか?
・椅子の高さとテーブルの高さの関係は適正?
●設置場所に注目
リビングにはソファやTV台など大きな家具があるかもしれません。そのようなものの中でもテーブルはキッチンの次に表面積を取る家具だと思います。奥行きや幅を測って導線を考えてみてください。
・全員が座ったときにしっかりと通路は確保できるか。
・キッチンから料理を運ぶときに邪魔になったりしないか。
また、設置予定の場所の形も重要になってきます。横長のスペースであれば、四角いダイニングテーブルが望ましいですが、正方形に近い形状であれば丸テーブルという選択肢もあるかもしれません。
角の形状も丸くなっていたりすると大きさの割に圧迫感が軽減されることがあります。ワインサイズ大きなものを選びたい場合は角が丸いものを選んでもいいかもしれません。
●食器に注目
ご家庭では日々お料理をテーブルで食べることになるかと思います。大皿を使うことが多い場合、鍋が料理が多い場合などは中心にスペースが必要になり、個人の食事スペースを確保するためには奥行きを多めに確保した方がよいかもしれません。
●用途に注目
今、ダイニングテーブルは食事をするだけの場所ではなくなっているご家庭が多いのではないでしょうか。お子様がお勉強する場所、奥様の家事やちょっとした作業スペース、旦那様の趣味の場所などなど。そのような用途で必要になるサイズも考慮にいれて選んでみてください。
●大は小を兼ねる?
大きなテーブルは見栄えもかっこよく、あまりスペースを気にせずに大胆に使うことができるでしょう。来客や家族が増えた場合などに対応できます。私自身も大きなテーブルに憧れがありました。しかし、賃貸物件やマンションなど引っ越しや生活パターンの変化など住宅事情も変化することが考えられる場合は大は小を兼ねるかと言われればそうでもないのではないかと思います。ソファ、サイドテーブル、TVボード、本棚、食器棚、椅子、マッサージチェアなど、家具だけでもリビングに置きたいものはたくさんあるはずです。引っ越しした場合、配送も大変ですし、次のダイニングでは設置ができなくなる場合もあります。他の家具との関係性、将来の家族のあり方も考慮に入れながらテーブルを選んだほうがいいかもしれません。
買い物カゴや普段使いのかばん
ポストに入っていた手紙や書類
雑誌、新聞
ケータイ、タブレット端末
上着などコート類
このようなものは日々簡単に取り出せる場所に置いておきたいものではないでしょうか。机の引き出しやクローゼットなどにしまいこんでしまうといちいち開けるのが面倒であったり、場合によっては仕舞ったことすら忘れて紛失してしまうことも。
片付けはその時の気分に左右され、常日頃から完璧にできるわけではないと思います。少なくても私はそうです(笑)
引き出したり、開いたり、歩いたりアクションの数が多いため面倒になりがちです。
私のような人間にはなんとなく片付いたように見える仮置き場の確保が必要だと感じます。収納場所の選び方のポイントはリビングなど居場所から近く、すぐに取り出せて、適当に置いても気にならないところです。
本来であれば部屋の計画段階で検討したほうが望ましいことですが(笑)
新たに TVボード、サイドボード、食器棚、チェストなどの収納家具をご検討されている場合は中に入れたいものに量をぴったり合わせるのではなく、余裕をみて多めに収納スペースを確保することをお勧めします。また、いっそのこと扉をつけずにオープンにしてカゴなどにしまうのも手です。そうすると床やソファやテーブルに置いていたものに居場所ができるかもしれません。
可動棚の作り方にも色々な方法があります。目的やデザインに合わせて最適な方法を選択します。
●ダボの可動棚
あまり、金具を目立たせたくない場合、狭いスペースで穴数が少ない場合などに当店ではダボで棚板を引っ掛ける方法で製作します。見た目は穴があいているだけなのですっきりして見えるのが特徴です。
●棚柱(ガチャレール)の可動棚
棚柱のよいところはダボよりも抜けずらく、錆びついて外れなくなることもありません。細かいピッチで棚を調整でき、中に収納するものが決まっている場合は無駄なく収納することができます。棚の位置を変更したい場合も簡単に移動することができます。