木の香りを心地よく感じる訳は?
森林浴をしたり、無垢材をふんだんに使われた家に入ると「木の香り」がしてリラックスして心地よく感じることがあります。この「木の香り」が人間の精神にとても有効な働きをしていると言われています。
「フィトンチッド」という物質が樹木から発散されているからだと言われています。
「フィトン」と「チッド」の合成語で「フィトン」は「植物」「チッド」は「殺す」という意味です。植物は動いて外敵から逃げることができないので、これを追い払う作用を持つ物質を自らつくり出し自分の身を守っています。
なおフィトンチッドの主な目的は次のようなものです。
1.忌避(きひ)物質・・・・・・樹木に害を及ぼす虫などを追い払う。
2.摂食阻害物質・・・・・・・・虫などに葉や幹を食べられないようにする。
3.抗菌・抗カビ物質・・・・・・カビや細菌を寄せつけない。
4.植物成長抑制物質・・・・・・別の植物が周りにはびこらないようにする。
このようにフィトンチッドは植物にとっては身を守るために作り出す物質ですが人体には天然の薬として作用し、交感神経の興奮を抑えて副交感神経を活発化させ、気分を安らいだ状態にする効果があるそうです。
また、タンス、まな板、寿司桶、お弁当箱など、古来より、フィトンチッドの抗菌消臭効果を活かした生活用品は数多くあります。木を使った生活雑貨を取り入れることで、暮らしの中でもフィトンチッドの効果を感じることができるでしょう。
私の工房は材木が山積みになっているので「木のいい匂い」がすると言われるお客様から言われることがあります。加工しているときには切削の熱によって木の香りを感じます。木によっても固有の香りがあり面白いです。同業の家具を作る方と会話しているとよく「どの木の匂いが好き?」という話になります。私は山桜を加工しているとき、ほんのり甘い香りがして癒されています。